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ブログ開設半年記念 2

昨日の続きでザーリッシュ編です。
明日はイドリス編。最後がジュスラン編になる予定です。
初っ端から危うく18禁になるところでしたが、そこは思い切って削りました。
BL要素もありますのでお気を付け下さい。

続きを読むからどうぞ。


10日後:ザーリッシュ編



「ザーリッシュ様、アリアバート公爵閣下がおいででございます。」
副官の言葉に、ザーリッシュは書類から顔をあげた。
「アリアバート卿が?何の用事だ。」
「何でもお借りしたい資料があるとか」
「わかった。」
ザーリッシュは書類を置き、副官に仕事の指示を与えて客間へ向かった。

客間には既にアリアバートが通されており、出された紅茶を優雅に口に運ぶ所だったが、ザーリッシュの姿を見えると、カップを置いて立ち上がる。
「アリアバート卿、いかがなされた。」
「突然訪ねてしまってすまない。どうしても必要な書類があるのだが、お貸し願えないだろうか。」
それほど仲の良いとは言えない二人ではあるが、仲が悪いわけでもない。
何より二人は重職につく身であるので、必要とあらば互いを行き来することは珍しいことではなかった。
「それは構わないが、部下に来させればよいものを」
そうすれば、ザーリッシュも部下に対応させるだけでよかったのだ。
「それが、重要機密にかかわる資料なので・・・」
アリアバートに渡された欲しい資料の目録を見てザーリッシュも納得する。確かに部下に任せていい資料ではない。だが、アリアバートに見せて困る類の資料でもない。
「了解した。ではこちらへ。」
重要機密の置かれた資料室を部下に案内させるわけにもいかず、ザーリッシュは自ら資料室へとアリアバートを案内した。

資料を探すアリアバートの形の良い後頭部を見て、ふとザーリッシュは先日の四公爵間で交わされた会話を思い出した。
(アリアバート卿が女に興味がないというのは初めて聞いたが、しかし思えば女性との浮名を聞いたこともない。言われてみれば納得でもあるな。この美貌ならば相手に不自由はしないだろう。
だが、今までそのような事をにおわせたこともないのになぜ突然そのような告白を?
まさかあの中にアリアバート卿の意中の相手がいるのであろうか。いや、しかしジュスラン卿はまずありえまいし、まさか年下のイドリス卿ではあるまい。となると残りは俺か?
まあ、俺ほどイイ男はこのウラニボルグ中探したっておるまいが、しかし俺には耽美趣味はない。早めに断っておいた方がいいな)
だがザーリッシュが口を開く前に、アリアバートが振り向いた。
「ありがとう、ザーリッシュ卿。助かった。」
お礼を言って微笑むアリアバートは、ザーリッシュから見ても美しかった。
それ故か、考え直す気になった。
(アリアバート卿は軍事にも政治にも有能であるし、気性も悪くはない。藩王位争いになった時、手懐けておければ有利であろう。
・・・それに、これほどの美貌は、女でもそうそうあるものではない。)
最後の部分が決定打だった。
ザーリッシュの決意から行動までの時間は四公爵中誰より早い。
アリアバートを引き寄せ抱き込んで、自分より少し低い位置にあるその美貌を上向かせて、口づけた。
柔らかい唇。これならまあいけるかとザーリッシュは判断した。
しかし、喜ぶだろうと予想していたその体は抵抗の意思をみせ、その力の限りでザーリッシュから離れようとした。
アリアバートが渾身の力を込めて突き放すが、ザーリッシュの巨体は突き飛ばすまではいかず少し離れるだけだった。だが、とりあえず密着していた二人の身体は離れた。
アリアバートは警戒して更に数歩後じさり、ザーリッシュから距離をとる。
「何をする!!」
突然の無体に当然抗議の声をあげるアリアバートだが、ザーリッシュは平然とした顔で応える。
「照れずともよい。貴公の思いに応えてやることは出来ぬが、時々ならば抱いてやっても良いぞ。」
アリアバートの抵抗を、ザーリッシュは恥じらい故と解釈した。
それにしても傲慢な言い分だ。
「何を馬鹿な!
俺がいつそんな事を望んだ!大体俺の思いとはいったい何の話だ!」
ザーリッシュの言い分は、アリアバートには分からぬことだらけであった。『照れる』『抱いてやっても良い』理解することを拒みたくなるが、まるで先程の無体をアリアバートが望んでいるかのようではないか。
「貴公が10日程前に女が好きではないと言ったであろう。わざわざ俺の前で告白したからには、貴公が誰を思っているかは明らかだ。遠慮せずとも、素直になられるが良い。」
あの場にいたのはザーリッシュのみではなかったはずだが。
それだけの事で性嗜好を誤解され、ザーリッシュなどに恋慕していると解釈され、あまつさえあのような無体をはたらかれたという事実は、アリアバートにとって許し難い侮辱であった。
穏健派と言われる事もあるアリアバートだが、それでも彼はタイタニアである。
侮辱を笑って許したりなど、するわけがなかった。
「俺は『女が好きではない』などと言っていない!単に女性を花に例える趣味がないと言っただけだ!
もう失礼させてもらう。この件、アルセス伯に報告したら、どのような顔をするのか楽しみだ」
この場合、ザーリッシュがどうすれば最もダメージを受けるのか、アリアバートは即座に判断できた。
その同性愛嗜好ゆえにザーリッシュに嫌悪されているザーリッシュの弟アルセスがこの事を知れば、どのような反応をするかある程度想像がつく。ザーリッシュは何としてでもそれを回避したいだろう。
事実ザーリッシュは、マントを翻し資料室を出て行こうとするアリアバートを慌てて引き留めた。
「何!? 待て、アリアバート卿!」
苦い顔で謝罪するザーリッシュを見ても気が晴れる事はない。だがアルセスの顔を積極的に見たいわけでもないアリアバートは、最終的にはある辺境の星で年に数本しか作られないというワインで手を打つことにした。




   後書
この話、危うく18禁になるところでした。
キス以上はさせるつもりはないのですが、ザーリッシュの脳内が18禁…。
ちょっと危険すぎたので削りました。
原作内では描写はなかったと思いますが、アリアバートとジュスランの兄弟関係をザーリッシュやイドリスは知っているのでしょうか。恐らく知っていると思って書きましたが、知らない可能性もありますよね。
それにしてもザーリッシュは自信満々ですね。きっと男としての自信に充ち溢れたキャラだと信じています。
最後の口止めの品は、最初もっと高いものにしようかと考えていました。例えばどこかの星域の航路の権利だとか、どこかの星の紅茶の税収だとか。でもさすがにそれだと大事になりすぎるので珍しいワインにしておきました。
明日はイドリス編です。

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