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ブログ開設半年記念 3

昨日の続きです。
今日はイドリス編。


続きを読むよりどうぞ。
10日後:イドリス編


アリアバートの衝撃のカミングアウトから、イドリスは未だ決心がつきかねていた。
10日ほど前、五家族頭首専用サロンにてアリアバートは同性愛者であると公言した。
未だに同性愛については強い偏見があり、カミングアウトは不利になりこそすれ有利にはならない。それををするからには何らかの理由があるはずであり、イドリスの予想は、想う相手がその場に居たのではないかというものだった。
そして、そのような不利を冒してまで想いを伝えたい相手は己であると、イドリスは半ば確信していた。
まさかジュスランではありえず、ザーリッシュのような者に恋慕するほどアリアバートの趣味が悪いとは思えない。では残るは自分しかないではないか。
これが他の誰でも、とっとと断れば済む話なのだが、相手はアリアバート・タイタニアである。次期藩王候補筆頭であり、彼を抱き込めば後々有利になるに違いなかった。
逆にあっさりと断ってしまえばさて、お人好しとはいえアリアバートとてタイタニアである。どのような報復が待っているか知れない。
(さて、どうしたものか。)
だがそれでも、全くイドリスの興味の範疇から外れる相手ならばイドリスとてその場で(罵りの言葉と共に)きっぱりと断ったのだが、しかしアリアバートの端麗な容姿はイドリスの好みから外れてはいなかった。
背の高いのも、嫌いではない。
穏やかな性格も、悪くはないと感じていた。アリアバートはイドリスのライバルであり、競争相手であったので、今まで彼の穏やかさなどは弱点としか移らなかったが、傍に置くならば好ましい性質だと思う。
男であるという事実において減点であったが、困った事にそれほど大きな減点にはならず、加点と比べれば気にならなくなってしまう。
そして、イドリスの愛人の座は今空席である。
ふと、アリアバートをその席に座らせるのも悪くないと思うことがないでもなかった。


「アリアバート卿、先日の事だが・・・」
同じ四公爵とはいえ、イドリスからの直通の電話など滅多にあるものではない。用事がある時は、部下同士でやり取りをさせるのが常だ。
それ故アリアバートは訝しく思った。何か、余程の大事でもあるのだろうかと。
「珍しいな、イドリス卿。先日の事とは?」
アリアバートの多少の緊張を裏切って、イドリスの言う事はどこかで聞いたような話だった。
「貴公が、女性に興味がないと言う話だ。」
午前中、ザーリッシュの所で聞いた話だった。まさしく今検討している資料を探しに行った時に。
その時の事を思い出すと、今まで何とも感じていなかった資料すら汚らわしく見えてくるから不思議だ。
「・・・イドリス卿、それは誤解だ。ザーリッシュにも誤解されていたようだが、俺は女性に興味がないといったつもりではない。」
思えば確かに言葉が足りなかったこともあるのだろうが、それにしても後からではなくその場で言って欲しかった。
「何?ではどういうつもりだ。」
イドリスの心底意外だというような声に、電話越しに悟られぬよう溜息を吐きつつ、アリアバートは誤解の訂正をした。
「俺は花に例えられるような、動きにくそうに着飾った女性はあまり好みではないと言ったつもりだったんだ。どちらかと言えば、活発で、強い目をした凛々しい女性が好みだ。」
「そ、そうか・・・」
何だかがっかりしたようなイドリスの声だ。アリアバートが同性愛者でなくてイドリスに何の不満があるというのだろうか。
「それで、イドリス卿の御用とは?」
「いや、なんでもない。」
そう言うとイドリスは、挨拶もそこそこに電話を切ってしまった。



   後書
通信手段ってまだ電話何ですかね?どうもよくわかりませんが・・・。立体映像!?
そう言えばそんなモノもありましたね!
書き始めてから今までずっと忘れていました。
きっと電話も残っているんだってことにしていて下さい。

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