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ある一夜 後書&おまけ

今更ですが「ある一夜」の後書。


読み返してみると、なんだかエロ書くために書いたようなお話です。そんなつもりじゃなかった・・・と思い返してみたのですが、そんなつもりではなかったという根拠が全くないので多分そんなつもりで書いたんじゃないかと。

それにしても、アリアバートさんは気づいておりませんが、後でベッドを片付ける人もいるので、当然イドリス邸のメイドさんたちにはばれます。
でもそれ以前に当然着替えを用意したときや食事を運んだとき気づかれていますよ。
というか、アリアバートを自室に呼んだときからメイドさんたちから怪しまれていますから、誰がイドリスの部屋に行くか争いが起きたほどですよ。
勿論寝室は防音なので、どっちが受けかで論争になるのです。

そんなおまけは続きを読むから。


ある一夜~イドリス邸のメイドたち~


使用人控室(女性用)と書かれたドアを開けると、同じ格好をしたメイド達が何人もいた。
夜勤のため、体力のある若い女ばかりだ。
扉を開け、入ってきたのも、だから当然若いメイドであった。彼女が入ったとたん、メイド達は詰め寄った。
「どうだった!?」
扉を閉めるまでは真面目な表情を崩さなかった彼女も、扉を閉めたとたんぱっと表情が変わる。それは上流階級でも下層階級でも変わらない、うわさ話に弾む女の顔だ。
「それが、執務室には誰もいないのよ!お二人とも寝室にこもっていらっしゃるようだったわ。」
入ってきたメイドがそういうと、メイド達は一斉に騒ぎ出す。
「キャー!やっぱりそうなんだ!」
「明日のイドリス様の部屋の掃除当番誰!?代わってよ!」
「明日は確か使用人のカールよ。」
顔の広いメイドが答える。
「それじゃあ皆でいかない?明日は朝食会の日だから午前中時間空くわよ。」
相手が男となったとたん遠慮する必要はなくなった。男なら、その仕事を嫌がりこそすれ望みはしないだろう。きっと喜んで代わってくれるに違いない。
だが、女にとっては、好奇心を満たす絶好の機会なのだ。
せっかく主人は若く美しい、魅力的な男性なのだ。忙しい日々、こういうところで楽しまなくては、やっていられない。
今まで女性が来たことは何回かありはしたが、そんなのは当たり前のことで面白いことではない。
しかし今回は男性なのだ。それも、若く美しく、魅力的な。女心が刺激されてやまないのは当然だろう。
「賛成!午後の仕事が増えるけど絶対行く!」
早速一人が賛成の手をあげる。他のみんなもそれに続いた。
「で、どっちが受けかしら?」
しかしある一人がちょっとした疑問を口にした。
確かにそれは気になる所ではある。
「え?当然イドリス様じゃないの?」
それに、常識を聞き返された時のような不思議そうな声で答える者もあったが、早速それに反論するものがあらわれた。
「馬鹿!アリアバート様よ!」
真逆の意見を口にする。それも、さも当然であるかのように。
「ちょっとあなた、何で断言できるのよ。確かにアリアバート様って何処か受けっぽいけど、イドリス様のほうがずっと美人だし、背も低いじゃない。」
本人たちが聴いていたら彼女らは何らかの処罰を受けること必至だ。しかし知恵のある彼女らは、もちろん主人らの目の届く所でそのような噂話をするわけがない。
「あなた情報遅いわ。ここだけの話よ、アリアバート様って、アジュマーン様の愛人なのよ。」
声のトーンを下げ、イドリス邸の使用人きっての早耳が耳打ちするように言う。
「えー!それ、本当!?」
しかし聞いた方は驚きに声のトーンが高くなる。
アリアバートがアジュマーンの愛人。もちろん彼女はそんな話を聞いたことがなかった。そもそも、その話は五家族頭首しか知らぬはずであり、また彼らが口外するはずはないのだが、なぜ彼女は知っているのだろうか。
「本当よ。アジュマーン様のお屋敷のメイドと、アリアバート様のお屋敷のメイドに聞いたんだから、間違いないわ。この間の謹慎中なんか、胸の開いたフリフリの服贈られたらしいわよ。」
メイドの情報網というのは恐ろしく、特定の情報においてはタイタニアの情報機関より優秀かもしれない。ともかく、誰に黙っていたとしても、使用人たちにばれないわけがないのだ。
しかし根っからの貴族である彼らはそのような事にはなかなか気付かない。気づかぬ方が幸せだし、気付かれてはメイド達も仕事がしにくくなるだろう。貴族の鈍感さにより成り立っているのだ。彼らの仕事は。
「何それ見たい!」
『胸の開いたふりふりの服』に対する反応だ。知る者が限られるはずの情報を漏らされて、とりあえず驚くのがそこというのが、さすがは女である。
「でも、アリアバート様がアジュマーン様に対して受だからって、イドリス様に対しても受けだとは限らないじゃない。」
まさしく正論である。
「まあ、そう言われればそうだけど・・・」
納得しかけた彼女に、別のメイドが新たな疑問を口にはさむ。
「・・・私、アリアバート様はジュスラン様とだと思っていたわ。」
また、新たなカップリングである。アリアバートも人気があるものだ。
「しっ!駄目よ、そんな事言っちゃ!あなた知らないの?あのお二人は御兄弟なのよ!」
できるだけ響かぬよう、だが彼女にははっきり聞こえるように言う。
「ええ!何それ!だって確か御母上同士が姉妹で、御父上は違ったはずよね!?
それが公式のジュスランとアリアバートの関係である。しかし、それは名目上のことだ。事実はそれと異なる。
「そんなの戸籍上の事よ!アリアバート様とジュスラン様はね、実の御父親が同じなのよ!」
言ってしまった。仮にも秘密であるのに。
「ええ、嘘!」
「本当よ。」
端的に答える。
「だって、だってそんな事!」
彼女は本当に知らなかったのだろう。大いに動揺している。
「タイタニアでは良くある事よ。早く慣れるのね。」
「だからだったのね、あの親密な雰囲気。私、勘違いしちゃった。」
とりあえず納得することにした。しかし、早耳のメイドがさらに口をはさんだ。
「・・・それはどうかしら?」
「どういう意味よ」
怪しい雰囲気だと思っていたのが兄弟だからでなければ何なのか。
「だって、イドリス様とラドモーズ様があんな風に仲良くしてらした事ってある?」
主人兄弟を例にあげる。どうしたって中の良い二人ではない。
「・・・ないわね」
「とにかくこの話はお仕舞い!あんなに開けっ広げなタイタニア貴族の間でもタブーなんだから。もしばれたらどんなお叱りを受けるかわからないわ。」
今までの話だけでも十分ばれたらやばいのだが、しかし今までメイドの噂話がばれたことは一度もないのだ。
使用人たちは、親兄弟までが知らぬ主人の秘密というものを多く知っているものなのだ。
それが主人らの耳に入らない分だけ、使用人たちの噂の正確度は増すのである。






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