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アイドル計画2

昨日はタイタニアサイトで更新されている所がないかなと確認するだけのつもりでパソコンを起動させたのですが、思わぬことに絵チャが開催されておりまして、だめだ明日は休みじゃないと言い聞かせましたが、結局誘惑に負けました。
後悔はしていません。
素敵な絵がたくさん見られました。私は幸福者です。
オフの情報も沢山頂きましたし。これから楽しみです。

アイドル計画もようやく第二話です。
一話目から大分間が開きましたが、内容はとんと進んでおりません。

続きを読むから開きます。




五家族当主専用サロンにて、若き公爵たちはそれぞれに藩王殿下よりいただいた計画書とやらを読んでいた。
アリアバートとジュスランの距離が近く、残りの二人がてんでにバラバラなのは既にいつもの光景だ。
「・・・ジュスラン卿、アイドルというのは歌って踊らなくてはならないものなのか?」
計画書から目を離し、アリアバートはジュスランに尋ねた。
「そうだ。なにを今更。」
アイドルの仕事が歌って踊る事なのは世間一般の常識だ。
しかしアリアバートは世間一般の住人ではなかった。
それで言えばジュスランもそうであるはずなのだが、ジュスランは博識で、知識だけなら一般世間というモノを知っていた。
イドリスとザーリッシュも結構箱入りなので、ジュスランの説明に実は耳ダンボである。
「大衆娯楽の一環としてアイドルという職業がある事くらいは知っていたが、その活動内容についてはまるで知識がなかった。
しかし、これは困った。俺は歌など歌えないぞ。」
貴族らしい知識の偏りである。
勇気付ける為というわけではないだろうが、ジュスランはアイドルについて補足説明をした。
「大丈夫だ。アイドルの歌と言うのは、オペラなどとは違って多少下手でも成り立つ。一時期歌の上手いアイドルはいないと言われていた時代すらあったくらいだ。」
確かにそんな時代も有ったらしいが、とうに過ぎ去った古い時代の一時的な流行である。良くぞ知っていたものだ。
今の時代のアイドルは歌も上手い。だがまあ、何事にも若干の例外はあるもので、特にグループともなれば多少歌の下手なのが混じっていたとしても問題ないのだろう。
「そうは言うが、俺は今まで一度も歌った事などない。」
しかしアリアバートの懸念は、歌が下手とかそんな簡単な話ではなかった。
「・・・一度も?」
流石にそれはないのじゃないだろうかとジュスランは思った。いくらなんでも人間だもの。歌を歌わない人生なんてあるのだろうか?学校に通えば校歌を歌わされ、国に住んでいれば国歌を歌わされ、軍隊に所属していれば軍歌を歌わされるものである。
そうでなくとも音楽とはどこにでもあふれているもので、気がつけば気に入った歌の一曲や二曲あるものではないだろうか。
しかしアリアバートは否定する。
「一度も。」
アリアバートはタイタニア貴族であり、国歌やら軍歌やらを強制される立場になかった。ついでに言えば専属の家庭教師がついていたので学校に通う必要もなかった。
そして貴族御用達の音楽といえばクラシックやらオペラやら、素人が聞けば歌詞すらも理解しがたいものばかり。例え理解したとしても、あの人間離れした甲高い声を真似しようという気になれるだろうか。少なくともアリアバートはそんな気になった事は一度もない。
アリアバートの人生は、音楽好きの人間から見ればある種の不幸に数えられるかもしれなかった。
「例えば子供の頃に乳母と一緒に子守唄や童謡なぞ歌ったことくらいはあるだろう?」
悪逆非道のタイタニア一族とてそんな微笑ましい幼少時の記憶くらいはあるものだ。普通は。
そしてアリアバートは普通という位置から外れるタイプらしかった。
「いいや。今まで一度もない。」
きっぱりと否定した。
アリアバートの乳母は普通に良い乳母であったが、困った事に母親があまり良い母親ではなかった。乳母が子守唄を歌うのを聞き、『庶民の歌なんて聞かせないで』と言ってくれた。自身で何か高貴な歌を聞かせてくれるわけでもないのに。
主人の癇癪を恐れた乳母は、それ以降アリアバートに童謡なり子守唄なりを歌うのをやめた。ちなみにアリアバートがまだ乳飲み子であった頃の話である。
「全く?」
アリアバートの母はそれでも歌が嫌いというわけではなく、どちらかといえば好きなほうであった。時々家に歌手を呼ぶ事もあったとアリアバートは記憶している。しかしその歌手は大概が母の愛人であり、稀に父の愛人であった。
アリアバートの母は主に激しい恋情の歌を好み、子供だったアリアバートにとっては理解できなかった。今でも理解できない部分はある。
であるからして、幼少時のアリアバートにとって歌とは大人のものであり、つまらないものだった。
成人した現在は、大人のものという部分が無くなり、ただつまらないものという印象だけが残っている。
だから、ジュスランの問いに、アリアバートはきっぱりと答える。
「全く。」
歌と言うのは、音階にあわせて詩を吟ずる行為である。ジュスランはそのハードルを少し下げて質問してみた。
「鼻歌は?」
鼻歌とは歌詞もなく音階だけを『ふーん』とか『んー』とかだけで奏でる行為である。
しかしアリアバートはそれすらきっぱり否定する。
「ない。そういえば昔、母が鼻歌を歌っている庭師を指差して、みっともないから真似するなと言っていた事があったな。思えばそれ以前に歌った事もないはずだから、やはり歌った事はないと思う。」
ジュスランは頭を抱えた。
今までに一度も歌った事のない人間がいるとは。
しかしそう言われれば、ジュスランには思い当たる節があった。
以前アリアバートを、ジュスランの支援するオペラ歌手の初舞台に招待した時のことだ。アリアバートは、とても器用に眠っていた。
ばっちり目を開けて、姿勢も崩さず、まるで起きて真剣に舞台を見ているようだった。
ジュスランもそう思っていたが、終わった頃、閉幕の合図で一度目を閉じ再び目を開け、ジュスランをちょっと不思議そうに見た後、『いいオペラだった。』と言ったのだ。
ジュスランはその表情に疑問を持ち、帰りの車中でアリアバートにオペラの話題を振ってみた。
アリアバートは適当に頷くか褒めるかしてはぐらかそうとしているが、全く覚えていない事は明白だった。
つまり寝ていたのだ、この男は。居場所を忘れるほどぐっすりと、器用にも目を開けたまま。
アリアバートは、歌に対する好奇心が決定的に不足しているのかもしれなかった。
「アリアバート卿がいくらド下手でも構わないが、私の足は引っ張らないでいただきたい。」
と言うのはイドリスだ。相変わらずの遠慮の無い物言い。
「そう言うイドリス卿は歌がお得意なのか?」
アリアバートやジュスランもそうであるが、イドリスが歌っているところもいまいち想像できない。
「貴公と違って、昔はよく父上にお褒めいただいたものだ。」
要するにアリアバートはいやみを言われているのだが、子供の頃の邪気の無いイドリスが父親の前で歌っている姿を想像してしまい、妙に和んだ。
ザーリッシュもここぞとばかりに口を挟む。
「俺もよく母上に褒められたぞ。・・・アルセスが生まれるまでは」
ザーリッシュも母親の愛情に関してはいまいちかわいそうな男だ。
とにかくそれぞれの証言により、アリアバート、イドリス、ザーリッシュの歌唱経験が明らかになった。
「そう言えば、ジュスラン卿はどうなのだ。」
当然の疑問としてアリアバートがたずねる。
「俺にも無邪気な子供時代はある。・・・乳母が良く歌う女だった。」
要するにその乳母と一緒に歌ったことがあるということだろうか。
「とすると、歌の経験が無いのは俺だけか・・・。」
それぞれ経験というほどのモノでもないのだが、それでもアリアバートよりはましだ。
アリアバートの歌唱力に対して絶望的な気分になっていたジュスランだが、絶望的になっていたのは何もジュスランだけではない。当人であるアリアバートもだ。
「ジュスラン、俺には無理だ・・・やはり誰か別の者を代役に」
タイタニア一の武勲を持つ男とは思えぬ弱気だ。もっともジャンルが違いすぎると言えばそうなのだが。
「それはだめだ。藩王殿下直々のご命令に逆らっては大変な事になる。」
まさしくジュスランの言う通りである。藩王は、四公爵でと明言して命令を下したのだ。
「そうは言うが、俺では命令を遂行できないぞ。」
アイドルは、歌えなくてははじまらない。アリアバートの場合、下手とかそういうレベルではないのだ。
「大丈夫だ。いざとなったら吹き替えと言う手がある。何なら機械で合成しても良い。まあ最後の手段だが、口パクと言うやつだ。何より挑戦しないうちから無理と決め付けるのはタイタニアらしくない。タイタニアに臆病者はいないはずではなかったか?」
何故そんなに詳しいのか、ジュスラン・タイタニア。
「・・・ジュスラン卿がそう言うのならば・・・ところでこの踊りと言うのはどういう踊りだ?タンゴか?ルンバか?」
アリアバートには当然想像もつかない。イドリスとザーリッシュにもだ。だがジュスランは知っているらしい。
「どちらでもない。分類される類のきちんとした踊りではないことも多いようだ。そもそも踊りと呼ぶにおこがましいような身体を揺らしているだけのような振り付けもある。練習の時間もほとんどないようだし、藩王殿下も無理な要求はなさるまい。あまり気にせぬ事だ。」
気にするなと言われても、踊るのは自分自身なのだが。しかしアリアバートは素直にうなずく。
「わかった。それにしてもジュスラン卿は随分と詳しいようだが」
「何、ちょっとした好奇心だ。」
随分と幅広い好奇心である。
「ジュスラン卿には随分と庶民くさいところがおありだ。」
イドリスは、常に何かいやみを言わないと気が済まないらしい。
「幅広い知識と言ってもらおうか、イドリス卿。」
感受性の強い者なら、二人の間に火花が見えたかもしれない。
剣呑な二人のやり取りを見て、アリアバートは不安になった。ジュスランとは上手くやっていけると思う。だが、こうも対抗心むき出しのイドリスとグループを汲んで何かを成し遂げる事が出来るのだろうか。
イドリスだけではない。ザーリッシュとて他の三公爵に対して並々ならぬ対抗心を抱いているのだ。ただジュスランやイドリスほど口の達者ではないザーリッシュは、己の不得意を心得てあまり口論を仕掛けないだけで。
(藩王殿下は、一体何をお考えでいらっしゃるのだ・・・)
その疑問だけは、珍しく四人が共感していた。




「藩王殿下、本当にあの計画を実行なされるのですか?」
アジュマーンの執務用の机には、今は書類ではなくデッサンや写真が置いてある。
公爵たちに何を着せようか、真剣に悩んでいるのだ。
作詞家、作曲家のリストもある。
オブノールも時々意見を求められていた。
「無論。
私の公爵たちは美しい。彼らが歌い、踊れば世の視線は釘付けとなろう。」
ようは藩王殿下は世間に、部下である公爵たちを自慢したいだけなのだが、それを知っているのはアジュマーンに長く付き従っているオブノールだけだった。(民衆の懐柔策というのは要するに口実である。)
ついでに言うなら、アジュマーン専用コンピュータのメモリの10分の1を男女様々なアイドルの歌や映像で占められていると知る者も、アジュマーン本人を除けばオブノールのみである。







     後書

アジュマーンをアイドルおたくにしてしまってごめんなさい。
要するに藩王殿下はアイドル好きが高じて、自分でアイドルをプロデュースしてみたくなったわけです。
それで周りを見渡してみたら部下は美形ばかりだった、と。これならそこらのアイドルなんか太刀打ちできないんじゃね?と考えたのが四公爵の運の尽き。
責任重大な公爵の地位に、若くて美しいのばかりがつくなんて、きっと二度とありえないですもんね。
アリアバートにあんな服を着せて、イドリスにこんな事をさせて、とか考えてわくわくしてるんですよ。きっと。

しかし書いててなんですが、私自身は特にアイドルにはまった事が無いのでアイドルってどんな仕事をするのか良く分かりません。
おかしなところがあったらドシドシ御指摘ください。

ザーリッシュですら愛人を花に例えるところから考えると、芸術に一番疎いのはアリアバートだと思うのです。
アリアバートはアニメ版で「花を愛でる趣味はない」とはっきり言ってくれましたからね。
「アイドル計画」のアリアバートは芸術おんちの方向で行きます。それに天然も加わるのでジュスランが大変です。
ところでアイドルにはプロモーションビデオなんてものもありましたね、そう言えば。
あの四人でやるとどんな風になるんでしょう。想像もつきません。
それ以前に歌も考えなくてはいけないんでした。
何かいい曲あったら教えてください。Sっぽい曲が良いです。
ビジュアル系とかで探したほうがいいのでしょうか。それともジャニ系?
どっちにしても3話目は遅くなると思います。

「アイドル計画」でのジュスランとアリアバートはとても仲が良いです。でも別に恋人じゃないです。

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