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一周年記念リクエスト企画③

4か月以上も開いてしまいましたが、もしまだ見ていましたらゆき様に捧げます。
本っとうに遅くなってすみませんでした。
最後になってしまい申し訳ありません。リクエストいただいた『公爵になりたてほやほやのアリアバートの印象を殿下や次期公爵に聞いてみた』です。
あまりリクエストに添えていない気がしますが、文章力と妄想力の限界です。申し訳ありません。
続きを読むより開きます。



インタビュー



ファン・ヒューリックは、正直じいさん号に移り住むことになったドクター・リーの引越しの手伝いを押し付けられていた。
服飾などの日用生活雑貨よりも、資料の方が明らかに多いのは印象通りと言ったところか。
「ドクター・リー、これは何だ?」
一枚だけ、他の資料とは分けられたCDがあった。
リーはそのCDに書かれたアルファベットと数字を見ながら言った。
「ああ、これか、これはタイタニアの資料だ。見たいかね?」
タイタニアの資料、それはリーが現在棚に並べつつあるのだが、その一群とはまた別なのだろうか。
「見た方がいいのか?って言うか、何でこれだけ別何だ?」
「捨てるかどうか悩んでいる所だ。タイタニアの人間関係を把握するうえで必要な資料である気もするのだが、全く必要がない気もする。ちょうどいい、提督が見てから決めてくれ。」
「まあ、いいけど。」
CDを受け取り、コンピュータにセットする。どうやら何らかの映像が収められているらしい。
「ん?フォルダが分けられている。"アリアバート編"…?」
「五家族頭首五人分だ。好きな方から見るといい。」
「女ならともかく、男の好みはないなぁ」
「好みがないなら順番に見ればいい。」
「それじゃあ、順番にアリアバート編から…」

"アリアバート編"とあったにも関わらず、画面に映し出されたのは見事な銀髪の、現藩王のアジュマーン・タイタニアであった。
「あれ?アリアバート編じゃなかったっけ」
「アリアバート編であたっている。」
リーが言い終わらないうちに、女性の声が聞こえてきた。
『アリアバート・タイタニア閣下が公爵になられましたが、藩王殿下はその事についてどう思われますか?』
『アリアバート卿は優秀な男だ。公爵位を継いでも、驕らず堅実に勤めあげる事だろう。アリアバート卿を部下に持てば、私も心強い。』
『次期藩王候補との御噂もありますが、その事についてはどうお考えでしょうか』
現藩王であるアジュマーンに対する質問としては直球すぎる。メモされた質問を読んだアナウンサーは、冷や汗をかきながら、それでも言いきった。実にジャーナリズムとは果敢なものだ。
『公爵ともなればそう言われてもおかしくはないであろうな。だが、アリアバート卿はまだ若い。これからどうなるかは神にもわかるまい。最も私も、簡単に無地藩王の座を退くつもりはない。』
『最後にお聞きいたしますが、前公爵であるアリアバート閣下の御父上の突然の死に関して不穏な噂が流れておりますが、どうお思いでしょうか。』
多少言葉を濁してはいるが、やはりこれまた勇気のいる質問である。ヒューリックは質問の答えよりも、このアナウンサーの今後の方が気になってしまった。
『検死の結果にも特別に問題があったとは聞いていない。それ以上の推測は無意味であろう。』

アジュマーンの姿が消え、次に映ったのは褐色の髪色をした、ジュスラン・タイタニアだった。
『アリアバート・タイタニア閣下が公爵になられましたが、ジュスラン閣下はどう思われますか?』
『まあ順当な結果だろう。アリアバート卿は同年の親族の内では一番の実績を持っている。前公爵が反対していたとはいえ別の有力な候補が居たわけでもない。なるべくしてなった。それだけの事だ。』
『次期藩王候補との御噂もありますが、その事についてはどうお考えでしょうか。ジュスラン閣下は、アリアバート閣下のライバルと言われおりますが』
『ライバル?彼をそのように考えた事はない。彼とは…まあ、親しい友人だ。』
少し言葉を濁して、選んだ言葉が結局"友人"で有った事が、この二人の複雑な関係を思わされる。後でリーに聞いてみよう、とヒューリックは考えた。
『最後にお聞きいたしますが、前公爵であるアリアバート閣下の御父上の突然の死に関してのお噂、どうお思いでしょうか。』
『アリアバート卿は、悪い人間ではない』
一応アリアバートを擁護するようだが、答えにはなっていない。

「何これ」
「アリアバート卿が公爵位を継いだ時のニュース番組から抜粋したものだ。次はイドリス卿へのインタビューだったはずだ」
リーが言うと同時に、いかにも綺羅綺羅しく見目麗しいイドリス・タイタニアが出てきた。こうして見ると、親戚同士とはいえあまり似ていない。

『アリアバート・タイタニア閣下の公爵位継承について、イドリス閣下はどう思われますか?ジュスラン閣下は実績もあるので順当な結果だとおっしゃられておりましたが』
書類を持った部下を従えて、いかにも呼び止められた風であるイドリス・タイタニアは、アナウンサーの質問に嫌そうに答えた。若いながらも迫力がある。アナウンサーとはなかなか過酷な職業なのかもしれない。
『アリアバート卿は与えられた任務に常に従順だ。その点において、公爵位を得ても問題なくやり過ごす事が出来るだろう。』
『次期藩王候補との御噂もありますが…』
『一番に代替わりを済ませたからそのような話が出ているだけだろう。私とて負けるつもりはない。出遅れたわけではない。私の方が少し若かっただけだ。その分未来がある。
実績などというものはこれから積んでいけばいいだけの話だ。』
さあもう良いだろうと言いそうな様子で、イドリスはアナウンサーを振り切ろうとした。
『最後にお一つよろしいでしょうか』
『駄目だ、私は忙しい』

「何でイドリス卿だけこんなに忙しそうなんだ?」
見目麗しく若々しいイドリスだったが、その若さのせいなのか何なのか雰囲気にはどこか棘があり、質問し難そうだった。それでも怯まず最後までインタビューしたアナウンサーにはプロ意識を感じる。
「当時イドリス卿は、病気の父親の仕事の代任をしていた。」
「へぇ。若いのに苦労してんだ。」

次に出てきたのは、かのザーリッシュ・タイタニアである。野性味あふれる風貌は、今までの三人とは明らかに分野が違う気がする。
『アリアバート・タイタニア閣下が公爵になられましたが、ザーリッシュ閣下はその事についてどう思われますか?』
『フン、アリアバート卿は運が良かった。今の時期に公爵位を継ぐ事が出来て。俺が先であれば、藩王候補筆頭などとは言わせないものを。だが、次は俺の番だ。多少の差など、すぐに覆る!』
『では、次の質問ですが…。前公爵であるアリアバート閣下の御父上の突然の死に関してのお噂がありますが』
アナウンサーが言い終わらぬうちにザーリッシュが憚る気のなさそうな声で応えた。
『父親を暗殺だと?アリアバート卿にそのような度量があるかどうか!』
せっかくアナウンサーが質問の内容を濁していたというのに、その努力は全く無駄になってしまった。

「あーあ、言っちゃった。で、これって結局のところどうなの?」
「噂はあくまで噂だ。検死の結果にも何ら異状は見つからなかったと聞いている。だが、タイタニアが滅び、その資料が自由に閲覧できるようになれば、真相もはっきりするかもしれん。」
「へー。
げ!何でアルセスまで!?」
次に画面に映し出されたのは、アルセス・タイタニアその人だった。ヒューリックには嫌な思い出しかない彼だ。姿を見るだけで不吉な気がする。

『アリアバート・タイタニア閣下が公爵になられましたが、アルセス閣下はその事についてどう思われますか?』
アナウンサーの質問に、嬉々として答えるアルセスは、見た所イドリスとさほど年齢も変わらないように見えるが、忙しそうな様子は全く見えない。
『アリアバート卿?ああ、なかなかの美男子だ。あの色素の薄い金髪が良い。薄青の瞳とのコントラストが絶妙だ。やや没個性の感があるが、そんなのはファッションでどうとでもなる事だ。公爵位継承に際し、私自らが選んだ素晴らしい服をプレゼントした。いずれ同僚となった暁には、アリアバート卿に最高のファッションを伝授するつもりだ。』
同僚になる気満々だったらしい。現状を知るヒューリックからすれば虚しさすら感じる。
『次期藩王候補との御噂もありますが、その事についてはどうお考えでしょうか。』
『藩王のあの白い装束はアリアバート卿に良く似合うであろうな。』
誰も服飾の事について聞きたかったわけではないと思うのだが。
『それでは、前公爵であるアリアバート閣下の御父上の突然の死に関してのお噂、どうお思いでしょうか。』
『アリアバート卿の御父上は、残念ながらあまり美しい方ではなかった。』
だからそう言う事を聞いているのではないと思うのだが…。
しかしアナウンサーも諦めたのか、
『ありがとうございました』
と締めの言葉を発して映像は途切れた。

「…何これ」
「五家族頭首の人間関係を把握するうえで必要かと思って集めた資料だ。」
「他の四人はわかるんだけどさ、何でアルセス?」
「次期公爵候補だけを寄り抜いたのだが、当時ザーリッシュ公とアルセス伯の父はどちらに公爵位を継がせるのか迷っていた。あの時点では誰に公爵位が渡るのかは不明だった。まあ、大方の予想通りザーリッシュ公が継ぐことになったのだが…」
「アリアバート公も安心しただろうね、アルセスが同僚にならなくて」
「そのようだ。ザーリッシュ公の即位の際のアリアバート公の顔は見ものだぞ。見るか?」
「いや、いい。何か疲れた。…捨てちゃって良いんじゃないの?」



   後書
リクエストに添えていない気もします。申し訳ありません、私にはこれが限界でした。
しかもヒューリック視点で申し訳なさ倍増です。
万一にも楽しんで頂けたのなら幸いですが…。

原作に、「神ならざる者の手が闇に蠢いた事を疑う…」とかいう記述がありましたので、誰が疑われただろうなと考えてみたんです。
1・アジュマーン  やっててもおかしくない。
2・ジュスラン   父親は病弱とかどこかに書いてあった気もするし、病死でいいのかなと。
3・イドリス    ご存じのとおり怪我と阿片中毒により。
残りのアリアバートとザーリッシュですが、二人とも父親に関する記述が少ないので疑うとしたらこの二人だと思うんです。4年で一気に代替わりしたんですから、過半数(5人中3人以上)は暗殺を疑われていたんじゃないかなと。そうするとアリアバートとザーリッシュかなって思ったわけです。
4・アリアバート  関係性について言及されていないが、父親に良く思われていなかった可能性あり。
5・ザーリッシュ  後継の件でもめていた可能性あり。
ザーリッシュはともかく、アリアバートはやっていないと信じていますけれども、疑われてはいたんじゃないかなぁと。

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