2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

一周年記念リクエスト企画②

やっと書き終わりました、リクエスト小説の二作目!
予告大外れですみません。ちょっと私事で忙しく…言い訳にもなりませんね。とにかく申し訳ありません。
3作目は何とか早めにあげられるようにします。

今回は、haku様リクエストの、『タイタニア1巻が始まる以前(アリアバートの評価が上がる以前)のジュスアリ』です!難しかったですが、考えている間中楽しかったです。haku様に感謝v


続きを読むから開きます。


前公爵の葬式から2週間後のアリアバート・タイタニア公爵位継承祝いのパーティーにて



「アリアバート卿は何でもそつなくこなすが、"これ"といったモノがない。武勇においてはザーリッシュ卿に劣り、美貌ではイドリス卿に適うべくもない。」
「同感だ。だが、原始の時代ならいざ知らず、腕力だけで人の上に立てるものではないぞ。ましてや女ではないのだから、いくら顔が良くても全く無意味だ。」
「勿論だ!だからこそ、知略に優れたジュスラン卿こそが時期藩王に相応しい!」
全く何とつまらぬおべっかだろう、としかジュスランは感想を抱けない。例えどれだけ褒め称えようとも、彼らを特別扱いしてやるつもりはないが、彼らは理解できないようだ。
そもそも彼らが、ジュスランの何を知って知略に優れたというのか。ザーリッシュもイドリスも、それにアリアバートにしても、世間一般の評価を借用しているに過ぎず、三人とも世間一般が容易に理解できるほど単純な人物でもない。
ジュスランの内心でどれだけ蔑まれているのかも気づかずに、アリアバート・ザーリッシュ・イドリスの三人をこき下ろしながら、それと対比してジュスランを褒め称える。それでジュスランが喜ぶと思っているのだからお粗末だ。彼らがジュスランにおべっかを使うほど、ジュスランの中での評価は下がる一方だった。
「アリアバート卿は誰もが美しいと認めるだろうが、しかし取り立てて言われることがないな。何故だろう?」
「アリアバート卿の顔立ちは整って入るが、ああいうのは平凡の極致といったほうが良い。人に不快感を与えないと言うだけで、それ以上の価値のない貌だ。」
「その点ジュスラン卿のほうが価値のある容貌をしている。アリアバート卿のように誰もが望むような美貌ではないが、印象的で、深みがある。」
聞いているだけでばかばかしい。無視して何処かへ行ってしまいたいが、この場にいる間は、この手のやからはいくらでも沸いて出る。
どれだけ煽てても一向に乗ってこないジュスランのつまらなさそうな様子に、男達は焦り始めた。煽てる以外に取り入る方法を知らない彼らは、そろそろ相手が悪かったと理解するべきだ。
だが、不意にジュスランが言った。
「アリアバート卿は、安定した時代であれば安定した治世を築くだろうが、何らかの異変が起こった時には、さて、どうなる事か」
ようやくのってきたと喜び、まくし立てるように同意する。
「まったくそのとおりですとも!アリアバート卿は、平穏な時代ならば可もなく不可もない時代を築くことが出来るかもしれないが、タイタニアの基盤を揺るがすような変事が起こったときに優れた対処は出来そうにない。」
「型に嵌った事しか出来ないお方ですからな。ついでに言うならば、平穏な時代など、人類の歴史上長く続いた例はない。ならばこそ、アリアバート卿は藩王には向かないと言える。」
「その点、ジュスラン卿の知略を持ってすれば、例えどのような異変があろうとも、我らは安心してついていくことができるというものです。アリアバート卿に公爵として多少出遅れたとしても、最後に選ばれるのはジュスラン卿に違いありません。」
「公爵としての年月など関係ない。アリアバート卿の公爵位継承が早かったのは、実力と言うよりも運だろう。父君が不運な事故に遭わなければ、おそらくあと20年は先の話だっただろうからな。その点、ジュスラン卿は既に後2・3年の内には父君から公爵位を譲り受ける事になっておられる。」
全く馬鹿馬鹿しい。
「私とて、父が病弱でなければどうだったか…」
心中とは裏腹に、一応は適当に謙遜しておく。
「アリアバート卿、久しぶりだな。」
「そうでもない。父の葬式からだから、たったの2週間ぶりだ。」
「それでは、久しぶりで正しいな。」
アリアバートをコケ下ろす事に夢中になっていた彼らは気づかなかったが、すぐ後ろにアリアバートがいたのだ。
サッと顔を青ざめうろたえた。言い訳の仕様もない。ジュスランのつぶやきに近い声は聞き取られなかったかもしれないが、自分らの声ははっきり聞こえていたに違いない。
「ア、アリアバート閣下に置かれてはご機嫌麗しいようで・・・」
「さて、どうだろ?いましがた、面白い話を聞いたのでな」
「そ、それでは我らはこれで失礼致します!」
そそくさと逃げるように去っていった男達を一顧だにせず、アリアバートはジュスランに向き合う。
「ジュスラン卿は来てくれないものと思っていた。」
「何故?」
「ジュスラン卿は、俺が公爵に向かないといっていたではないか」
「それとこれとは話が別だ。アリアバート卿は公爵になる事を望んでいたであろう?」
「・・・ああ」
「君の望みが叶って喜ばないはずがない。おめでとう、アリアバート」
二人きりのときにしか使用されない二人称で呼ぶと、アリアバートの頬が赤く染まる。あっという間に耳まで赤くして、きょろきょろと周りを見回しながら、声の届く範囲に人の居ないことを確認する様子も可愛らしいと思うのは、一種の欲目か。
「誰にも聞こえてはいない」
ジュスランは用心深い性格を自任している。声の届く範囲に人のいない事は確認済みだ。
「だからと言って・・・!」
「聞こえたからといって何がわかるわけもないだろう。それよりも、アリアバート卿の態度のほうにこそ、人は怪しむ」
「!そ、そういうものか」
アリアバートは素直に謝り、意識して顔色を整える。
「すまない少し席を外す。」
周りを見回したとき、藩王の姿が目に入ったのだ。挨拶に行かなくてはならない。
(もう少し話していたい)以外に、引き止める理由がなく、ジュスランは快く送り出さねばならない。
「構わない。君の仕事を果たしてきてくれ」
立ち去る瞬間、アリアバートは目を合わせずに言った。
「俺は、人の上にたつ事に向いていないのだろうか」
やはり、先程の会話は聞こえていたようだ。もっともジュスランは、聞こえても構わないと考えていたので、逃げ去った男達のようにうろたえたりはしない。
「そうは思わない。だが、人には分相応と言う者がある。君に出来るのは公爵までだ。」
「・・・俺は、何時か君に認められたい」
ジュスランはそれに答えなかった。
去り際に一瞬交差した瞳の色は、少し哀しげだ。
(何もそんな顔をする事はないだろうに)
ジュスランは、アリアバートの本質を、『個性に欠ける優等生』という世間の評価以上のものとは考えていない。
だが、アリアバートが考える以上に、ジュスランはアリアバートを愛している。その能力を認めてもいる。
(それで十分ではないか。)
愛と尊敬は別なのだと、彼もそろそろ理解するべきだ。



   後書

遅くなってしまい、誠に申し訳ありません!
最初にジュスランを取り巻いていた人たちは、別にジュスラン派なわけではありません。権力持ってる人には誰にでもあんな風におべっかして何とか取り入ろうとしているんです。
あと、アリアバートは別に藩王になりたいとか思っていません。ただジュスランと同じ目線に立ちたいと頑張っているんです。
(そういうことは本文中に入れるべきだと思いましたが、文章力の問題で無理でした。)

ところで、アリアバート批判って難しいですね。
優秀だけど突出したものがないって意味わかんない。没個性って言っても、文武両道で才色兼備で性格も温厚ならそれで十分としか思えません。平凡(若しくはそれ以下)の人間からすれば褒めるかうらやむ以外にないんですけど!

haku様には本当にお待たせいたしました。最近予想外の仕事が多かったため、時間的にはともかく、精神的な余裕がなくなり遅くなってしまいました。他に書きたい話があったからとかそういうわけではないです。御心配かけたようで申し訳ありません。

コメント

Secret

プロフィール

どろやま

Author:どろやま
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QRコード